10月26日・27日、第16回シェルターシンポジュウム2013inもりおか・岩手【性暴力禁止法の制定にむけて つながる、ひろげる、パープルネット~女性子どもに対する暴力の根絶~】が開催されました。北は北海道、南は沖縄までの女性たち(延べ1500人)が集まり、女性への人権侵害である暴力根絶のため、シンポジュウムをはじめ、翌日のたくさんの分科会へ参加し、熱気にあふれた2日間でした。

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10月26日のオープニングでは、花巻農業高等学校(宮沢賢治が教鞭をとった唯一の学校)の生徒による力強く太鼓をたたきながら踊る、若さあふれる華麗で力強い鹿踊り(ししおどり)で歓迎され、会場に集まった参加者が元気をいっぱいもらいました。

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1日目のシンポジウムのテーマは【女性と貧困】でした。内容はかなり高度で、大学の授業並?に感じて、私の頭はフル回転でした。その内容を大会資料等を参照して報告します。

コーディネーター
戒能民江 (お茶の水女子大学名誉教授)

シンポジスト  
戒能民江 (       同         )
大沢真理 (東京大学社会科学研究所教授)
近藤恵子(NPO法人全国女性シェルターネット共同代表)

☆ 近藤 恵子さん
:配偶者からの暴力の被害者の自立支援等に関する調査(内閣府:平成19年4月)
によると、DV夫から離れて暮らしてる女性の月収は10~15万円 が35,3%。平均月収126,137円、母子がまともに暮らせる金額ではない。
被害女性は地域から逃れ、仕事を失い、経済的自立の困難に向き合わなければならない。シェルターを退所した女性の45%が生活保護を受給している。女性の労働環境の悪化、暴力被害による心身の健康の不調が生活保護受給率を高くしている。
DV・性暴力並びに労働現場の女性の不利益の根っこに歴史的性差別社会が存在し、その状況は深刻度を増している。

☆ 大沢 真理さん 【再配分が貧困を深める国ニッポン】
:日本の相対的貧困率(全人口・2009年)16%。OECD諸国では日本は5番目、アメリカに次いで高い。日本政府による「再配分」(直接税・社会保障負担等)が、かえって貧困を深めている。失業、雇用の非正規化(派遣・パート・アルバイト)により、低所得層の増加をもたらしている。
日本の企業は人件費削減志向があまりに強く、企業の儲けが家計に回りにくい。家計消費に力がない経済は、輸出に依存してわずかに成長するに過ぎず、経済危機に対して脆い。
1990年以来、高所得者層・資産家・企業への減税が繰り返され、税収の低下をもたらした。
日本の貧困の特徴は母子世帯においてワーキングプアとなるリスクが高く、高齢単身女性の貧困率が断然高い。これは、ジェンダーによる差別である。

☆ 戒能 民江さん 【女性と貧困ー法的側面から】
:一時保護所・民間シェルター入所前、経済的困難や住宅問題を抱えてる女性が半数強を占める。母子生活支援施設において、母親が就労している場合、非正規雇用が多く、低所得であり、生活保護受給率が高い。女性たちはDVや離婚問題・うつなどの精神障害や疾病、子どもの問題、社会的孤立など複合的に問題を抱えている。
DV法は独自の生活再建支援システムを持たず、既存の法制度と社会資源を駆使して生活再建を図らなければならない。
日本の母子家庭の8割以上が就労しているが、典型的「ワーキングプア」として政策的に周縁化されてきた。
労働法では、雇用における性差別は禁止されているものの「性差別とは何か」の定義もない。労働者派遣法の見直しなど、「雇用改革」が進められているが、ますます女性は低賃金で不安定な非正規労働に追い詰められるのではないかと考えている。
シングル女性・セクハラ・性虐待・性暴力被害者の生活再建には何の施策もない。総合的女性の支援システムが必要である。

*****ミニ知識*****
【相対的貧困】
国・地域で、平均的生活レベル(獲得収入)よりも、著しく低い層・個人を相対的貧困という。
【絶対的貧困】
国・地域の生活レベルとは無関係に、人間が生きるために必要な最低限の衣食住を満たす生活水準以下の層・個人を絶対的貧困という。世界では1日1,25ドル未満(1年間45,000円)で生活する人々が14億人、世界では4人に1人が絶対的貧困層に該当する。
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2013-10-29 19:00 | カテゴリ:お知らせ・報告